会社設立から3年、うちの会社(ひとり法人の株式会社)は記帳も決算も顧問税理士に任せている。おかげで自分の時間はほぼすべて本業のコンサルティングに使えている——この体制がどれだけ楽かは、設立を税理士に丸ごと依頼した話とfreeeからマネーフォワードに乗り換えた話で書いたとおりだ。
ただ、よく聞かれるのに今まで書いていなかったことがある。「その税理士、どうやって見つけたんですか?」だ。
先に白状すると、私の答えは面白みがない。仕事関係の知人の紹介で出会って、他とほとんど比較せずに決めた。結果には満足しているが、この方法には再現性がない。紹介してくれる知人がいなければ成立しないし、紹介だからこそ「合わなかったら断りにくい」リスクも本当はあった。
だからこの記事では、①私が実際どう決めたか(一次情報)と、②もし今ゼロから探し直すなら何を見るか(3年間顧問契約を続けて分かった選定眼)を分けて書く。これから顧問税理士を探すひとり法人・小規模法人の人が、私より効率よく「合う税理士」に辿り着くための記事だ。
広告(アフィリエイト)開示: 本記事にはアフィリエイトリンクを含む場合があります(当サイトの開示ポリシー)。内容は、株式会社イチ(ひとり法人)の実体験と各社公式サイトの公表情報に基づきます。相場・料金は2026年7月時点のもので、最新は必ず公式情報でご確認ください。
結論:探すルートは3つ。どれで探すかより「何を確認するか」で決まる
顧問税理士の探し方は、突き詰めると次の3ルートしかない。
| ルート | 向いている人 | 強み | 弱み |
|---|---|---|---|
| ① 知人・取引先の紹介 | 周囲に経営者がいる人 | 実際に使っている人の評価つき・信頼の初期値が高い | 相性が合わなくても断りにくい・比較できない |
| ② 自力でネット検索 | 時間をかけられる人 | 完全に自分のペース・事務所サイトで専門性を確認できる | 目利きが難しい・問い合わせと面談の手間が全部自分持ち |
| ③ 税理士紹介サービス | 忙しい人・比較したい人 | 無料・条件を伝えると候補が来る・複数比較が前提 | 紹介される候補はサービス登録事務所に限られる |
私は①で決めた。そして3年経った今の結論はこうだ——どのルートで出会うかより、契約前に「7つのポイント」(後述)を確認するかどうかで、その後の満足度がほぼ決まる。 紹介でも検索でもサービス経由でも、確認すべきことは同じだ。
私の実体験:紹介で出会い、ほぼ一本で決めた
出会いは会社設立の準備中
現在の顧問税理士とは、会社設立の準備をしていた時期に、仕事で付き合いのあった知人の紹介で出会った。設立準備の相談をする中で、実際にその税理士に顧問を頼んでいる知人が繋いでくれた形だ。
設立の記事に書いたとおり、私は設立手続きそのものを税理士に丸ごと依頼している。つまり「設立をお願いした税理士に、そのまま顧問もお願いする」流れで、比較検討らしい比較検討はしていない。面談した税理士は実質この1人で、会って話した際の説明の分かりやすさとレスポンスの速さで「この人でいい」と即決した。
契約内容と顧問料
現在の契約は、月次の顧問契約+記帳代行+決算・法人税申告のセットだ(年末調整などの周辺手続きも含めて任せている)。私は日々の記帳をしておらず、証憑を渡して記帳からマネーフォワード クラウド上で任せている(2aの記事に書いた分担そのまま)。
顧問料は、記帳・決算委託込みの年間費用を月額に均すと月3万円台だ。後述する相場と照らすと、記帳から任せているひとり法人としては標準的なレンジに収まっていると思う。
3年続けて感じている価値
紹介で「ほぼ即決」だった割に、結果には満足している。理由を3年分振り返ると、次の3つに集約される。
- 期限モノの漏れがゼロ——法人税・消費税・年末調整・償却資産。ひとり法人は「気づいたら期限が過ぎていた」が一番怖いが、この3年、税務の期限に追われた記憶がない。
- 判断に迷ったとき、最初から相談窓口がある——役員報酬の決め方、経費の線引き、インボイス対応。検索で調べると諸説出てくる論点を「うちの場合はこう」で答えてもらえる。
- クラウド会計(マネーフォワード)前提で回っている——証憑の受け渡しから決算まで、来所や紙のやり取りに縛られない。リモートワーク中心の働き方と噛み合っている。やり取りは基本オンラインで、必要なときだけ打ち合わせる形だ。
正直な反省:比較しなかったことのリスク
一方で、いま振り返ると「比較せずに決めた」のは結果オーライだったとも思っている。紹介は信頼の初期値が高い分、「合わなかった場合に断りにくい」「相場を知らないまま契約しがち」という構造的な弱点がある。私は運良く相性の良い税理士に当たったが、もし合わなかったら、紹介者の顔を立てながら解約する気まずさを抱えることになっていたはずだ。
だからこそ、これから探す人には「私と同じやり方」ではなく、どのルートで出会っても使える確認リストを勧めたい。それが次の7つだ。
いま探し直すなら見る7つのポイント
3年間の顧問契約で「ここが効いている」「ここを先に確認すべきだった」と感じた点を、契約前のチェックリストに落とすと次のとおりだ。
| # | 確認ポイント | なぜ重要か |
|---|---|---|
| 1 | クラウド会計への対応(freee/マネーフォワードのどちらに強いか) | 税理士側の対応ソフトで自分の会計基盤が事実上決まる。逆順(ソフトを決めてから税理士を探す)だとミスマッチが起きる |
| 2 | ひとり法人・小規模法人の関与実績 | 大企業向けの事務所だと、小規模特有の論点(役員報酬・マイクロ法人的な設計)の勘所が合わないことがある |
| 3 | 顧問料の内訳(記帳込みか・決算料は別か) | 「月額が安く見えて決算料が高い」パターンがある。年間総額で比較する |
| 4 | 連絡手段とレスポンス(チャット/メール可か・返信目安) | 月1回の定例より「聞きたいときにすぐ聞ける」ほうがひとり法人には効く |
| 5 | 税務以外の相談範囲(補助金・融資・社保の一次相談) | 顧問税理士は経営の最初の相談窓口になる。どこまで乗ってくれるかは事務所差が大きい |
| 6 | 初回面談での説明の分かりやすさ | 専門用語を翻訳してくれるかどうか。3年付き合う相手なので相性はスペックと同じくらい重要 |
| 7 | 契約変更・解約の条件 | 最低契約期間や解約予告の縛りを最初に確認しておくと、万一のミスマッチ時に動きやすい |
このうち1と3は、私が「先に確認すべきだった」と反省している項目でもある(結果的に問題なかったが、契約時点では把握していなかった)。
顧問税理士の相場(2026年時点の目安)
ひとり法人〜小規模法人の相場観は、複数の公開資料を横断するとおおむね次のレンジに収まる(2026年7月時点の調べ。事務所・地域・訪問頻度により幅がある)。
| 項目 | 相場の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 月額顧問料(小規模法人) | 月1万〜3万円台(年商1,000万円前後)/年商1,000万〜3,000万円規模で月3万〜6万円とする資料もある | 訪問なし・オンライン中心だと安くなる傾向 |
| 記帳代行 | 月5,000円〜3万円程度の追加 | 仕訳量による。自分で記帳すれば不要 |
| 決算・申告料 | 顧問料の1〜6ヶ月分(10万〜30万円程度)と幅が大きい | 「顧問料に込み」の事務所もあるため年間総額で必ず確認 |
重要なのは相場そのものより、見積もりを「月額」でなく「年間総額」で見ることだ。月額2万円+決算料20万円(年44万円)と、月額3万円+決算料込み(年36万円)なら後者が安い。この比較は月額だけ見ていると逆転する。
相場は事務所の方針・地域・依頼範囲で大きく変わります。上記は公開資料を基にした目安であり、正確な金額は必ず個別見積もりで確認してください。
紹介サービスという選択肢——「比較してから決める」を無料でやる方法
私が使わなかったルート③(税理士紹介サービス)についても、公開情報ベースで整理しておく(利用経験がないため、仕組みの解説である点は明記しておく)。
代表的なサービスの一つが税理士ドットコムだ。東証プライム上場の弁護士ドットコム株式会社が運営しており、登録税理士は全国7,400名以上・利用実績は累計42万件以上(2026年7月時点の公式サイト表記)。利用者側は完全無料で、希望条件(業種・規模・使いたい会計ソフト・予算)を伝えると、コーディネーターが条件に合う税理士を紹介してくれる仕組みだ。何人紹介を受けても無料で、断る場合もコーディネーター経由で伝えられる。
紹介サービスの本質的な価値は、私のような「紹介一本で決めた」ケースの弱点——比較できない・断りにくい——を構造的に解消できることだと思う。前述の7つのポイント(特にクラウド会計対応・年間総額・小規模実績)を条件として最初に伝えれば、候補選定の段階でミスマッチをかなり減らせるはずだ。
条件を整理してから動きたい人は、まず無料相談で「ひとり法人・クラウド会計対応・年間総額の予算」を伝えるところから始めるとよい。
よくある質問
Q. 設立前と設立後、どちらで探すべき? 可能なら設立前をすすめたい。私自身、設立手続きごと税理士に依頼したことで、設立後の届出(青色申告承認申請など期限があるもの)まで一気通貫でカバーされた。設立後に探す場合も、最初の決算の3ヶ月前までには決めておくと安全だ。詳しくは設立の記事で書いた。
Q. ひとり法人でも顧問税理士は必要?記帳を自分でやれば不要では? 「必須」ではない。クラウド会計を使って自分で記帳・申告する道もある(freeeはその設計思想が強い。2aの記事参照)。ただし法人の申告は個人の確定申告より複雑で、本業の時間を削る覚悟は必要になる。私は「自分の時給で考えたら任せたほうが安い」と判断した側だ。
Q. 顧問税理士は後から変更できる? できる。決算をまたがないタイミング(決算申告完了後)が切り替えの定石とされる。だからこそ契約前に解約条件(ポイント7)を確認しておくと、最初の選択の心理的ハードルも下がる。
Q. オンライン完結の税理士でも問題ない? うちは3年間ほぼオンラインで回っており、実務上の支障は感じていない。クラウド会計+チャット/メールで完結する体制は、リモートワーク中心の働き方ならむしろ標準になりつつある。対面の安心感を重視するかどうかは好みの問題だ。
まとめ:出会い方より、確認リストで決まる
- 探すルートは紹介・自力検索・紹介サービスの3つ。私は紹介×即決だったが、この方法に再現性はない
- どのルートでも、契約前に7つのポイント(クラウド会計対応・小規模実績・年間総額・連絡手段・相談範囲・相性・解約条件)を確認すれば大きく外さない
- 相場は月額でなく年間総額で比較する
- 比較したい・周囲に紹介者がいないなら、無料の紹介サービスで複数候補と会うのが合理的だ
顧問税理士は、ひとり法人にとって「最初のチームメンバー」に一番近い存在だと思う。設立・会計ソフト・補助金と並ぶ経営インフラの話として、関連記事もあわせてどうぞ。

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